日本には韓国のようなチョジャン文化がないと知っていたので、最初から刺身と一緒にチョジャンが出てくるとは思っていませんでした。それでも、醤油とわさびで刺身を食べる光景を見ると、韓国で慣れていた食べ方とは、やっぱり違うなと感じました。
韓国では刺身を초장(チョジャン)につけて食べることがよくあります。もちろん全員が同じ食べ方をするわけではなく、醤油とわさびで食べる人もいれば、サムジャンを合わせる人もいます。
韓国で刺身につける赤いタレは、ただのコチュジャンではない
韓国で刺身と一緒によく出てくる赤いタレは、普通の고추장(コチュジャン)ではなく、초장(チョジャン)または초고추장(チョコチュジャン)と呼ばれるものです。
コチュジャンをベースに酢や砂糖などを加えたタレで、辛さだけでなく酸味と甘みがあります。刺身はもちろん、イカやタコなどの魚介にもよく合います。
ただ、「韓国人は刺身なら必ずチョジャン」というわけではありません。魚の種類や店、好みによって、醤油やサムジャンで食べることもあります。
刺身にチョジャンをつけるのは、いつから?
この文章を書きながら、私自身も「そもそも、いつから刺身にチョジャンをつけるようになったのだろう」と気になりました。
調べてみたのですが、今のような食べ方が始まった時期をはっきり示す資料は見つかりませんでした。
ただ、コチュジャンは朝鮮後期の18世紀ごろには、すでに作り方が文献に残されています。さらに韓国の伝統的な膳立ての資料には、刺身に添えるチョコチュジャンを小皿に用意した記録もあります。刺身とチョコチュジャンは、昔から韓国の食文化の中にあった組み合わせだということが分かります。
ただ、「なぜ刺身にチョジャンをつけるようになったのか」までは、はっきりした理由が分かっていません。
では、なぜ韓国では刺身にチョジャンをつけるの?
始まりの時期や理由ははっきりしていません。でも、韓国でチョジャンがどんなふうに食べられているかを見ていると、刺身に合わせるのも不思議ではない気がします。
淡白な魚介に、チョジャンの味がよく合う
チョジャンは、コチュジャンの辛さに酢の酸味と甘みが加わったタレです。
白身魚やイカのような比較的淡白な魚介につけると、味がぐっとはっきりします。魚介の淡白な味に、チョジャンの甘辛さと酸味が加わる感じです。
「生のにおいが気になりにくいから」という話もある
生の魚介のにおいが少し気になるときでも、チョジャンをつけると食べやすいという話は韓国でよく聞きます。
酢の酸味やコチュジャンの強い味が加わることで、生の魚介特有のにおいが気になりにくくなる、という考え方です。ただ、これがチョジャンを使い始めた直接の理由だったかどうかは分かりません。
そもそも、チョジャンは刺身だけのタレではない
韓国では、刺身だけでなくイカやタコなどの魚介にもチョジャンをよく合わせます。
韓国では、魚介にチョジャンを合わせるのは珍しい食べ方ではありません。その延長で、刺身にも使われるようになったのかもしれません。
私自身も、子どもの頃から刺身やイカ、タコを食べると自然にチョジャンを探していました。理由を考えて食べていたというより、魚介を食べるときの「いつもの味」という感覚でした。
日本に来てからは刺身を醤油とわさびで食べることにもすっかり慣れました。それでも、ときどきチョジャンの味が恋しくなることがあります。そんな日は家でコチュジャンに酢と砂糖を加え、簡単なチョジャンを作って刺身につけて食べます(笑)。
韓国で刺身にチョジャンをつけ始めた正確な時期までは分かりませんでしたが、調べてみると、思っていたよりずっと前から続いてきた組み合わせでした。子どもの頃は当たり前すぎて理由を考えたこともなかった食べ方なのに、日本で違う食べ方に慣れてから、かえって気になるようになったのかもしれません。
