K-POPの記事を読んでいると、「第5世代」という言葉をよく見かけます。では、第4世代はいつ終わり、誰が第5世代の始まりを決めたのでしょうか。
結論から言うと、K-POPの世代分けに業界共通の公式ルールはありません。2023年ごろから「第5世代」という呼び方が急速に広がりましたが、特定の日を境に公式に切り替わったわけではありません。
この言葉が広がった流れを見ていくと、K-POPの「世代」は単なるデビュー年の区切りではなく、新人をどう見せるか、ファンにどう伝えるかとも深く関わっていることが分かります。
K-POPの「第○世代」は公式な分類ではない
K-POPの第1世代、第2世代、第3世代といった呼び方は、業界団体が基準を決めて認定する制度ではありません。デビューした時期、その時代の音楽市場、海外活動、ファン文化、メディア環境などを手がかりに、業界やメディア、ファンの間で使われてきた区分です。
そのため、世代の境目に近いグループは媒体によって位置づけが変わります。「第4世代後半」「第5世代の先駆け」のように呼ばれることもあり、すべてのグループを一つの基準できれいに分けるのは難しいです。
世代名は「正しい所属を決めるラベル」というより、K-POPの流れを振り返るための目印として見るほうが自然です。
なぜ2023年ごろから「第5世代」が広がった?
大きなきっかけの一つが、Mnet『BOYS PLANET』から誕生し、2023年にデビューしたZEROBASEONEです。
Korea JoongAng Dailyは2023年7月のファクトチェック記事で、『BOYS PLANET』がZEROBASEONEを「5th Generation K-pop Boy Group」と位置づけ、その後ほかの新人グループや韓国メディアにも「第5世代」という表現が広がり始めた流れを紹介しています。
つまり、2023年に業界全体が話し合って「今日から第5世代」と決めたわけではありません。新人を新しい流れとして見せる言葉が先に使われ、それがメディアやファンにも広がっていったということです。
「第4世代が始まったばかりなのに、もう第5世代?」と感じる人がいたのも不思議ではありません。そもそも、一つの世代を何年間とする決まりがないからです。
第5世代と呼ばれるグループは?
2023年以降に登場したグループでは、ZEROBASEONE、BOYNEXTDOOR、RIIZE、TWS、ILLIT、BABYMONSTER、KISS OF LIFEなどが第5世代として紹介されています。
The Korea Timesも2025年の記事で、BOYNEXTDOOR、TWS、RIIZE、ILLIT、BABYMONSTER、KISS OF LIFEなどを第5世代と呼ばれるグループとして挙げています。
ただし、これは「第5世代に公式認定された」という意味ではありません。同じ時期のグループでも媒体によって扱いが違うため、一覧だけを見るより、どんな文脈でその呼び方が使われているのかを見るほうが分かりやすいです。
第4世代との違いは音楽ジャンルだけでは説明できない
第4世代と第5世代を、曲調や衣装だけで分けるのは難しいところです。「第5世代はグローバル志向」という説明も、それだけでは十分ではありません。BTSやBLACKPINKをはじめ、それ以前の世代からK-POPの海外展開は大きく進んでいました。
違いを考えるヒントになるのが、グループを取り巻く活動環境です。
第4世代はコロナ禍とオンライン活動が重なった
第4世代の中心グループが成長した時期には、新型コロナウイルスの世界的流行が重なりました。海外公演や対面イベントが難しくなるなか、オンラインコンサート、SNS、短尺動画、オンラインでのファン交流が急速に存在感を増します。
Korea JoongAng Dailyも第4世代を取り巻く環境として、オンラインコンサートや短尺動画、バーチャルツアーなどを挙げています。TikTokやショート動画は、第5世代になって突然始まったものではありません。
第5世代はオンラインと対面の両方が最初から身近に
2023年以降にデビューしたグループは、SNSや短尺動画を日常的に使いながら、海外ツアーやファンミーティングなど対面でファンと会う活動も組み合わせやすい環境でスタートしました。
だからといって、「第4世代はオンライン、第5世代はオフライン」と分けられるわけではありません。第4世代で発達したオンラインの仕組みを引き継ぎながら、コロナ禍後の対面活動も並行している。その重なりに時代の変化が出ています。
「TikTok世代」だけでは第5世代を説明できない
第5世代を「TikTok世代」と表現することもありますが、短尺動画を使った楽曲の拡散は第4世代ですでに定着していました。
現在はMV、音楽番組、ダンスチャレンジ、YouTube Shorts、Instagram Reelsなど複数の発信が同時に動くのが珍しくありません。曲名やグループ名を知らないうちに、SNSでサビや振り付けだけ先に知ることもあります。
これも第5世代だけの特徴ではありません。世代の違いを考えるなら、「どんな音楽か」だけでなく、「ファンがその音楽やメンバーをどこで知るのか」まで見ると分かりやすくなります。
オーディション番組も第5世代から始まったわけではない
ZEROBASEONEは『BOYS PLANET』を通じて視聴者がメンバーを知り、投票に参加したうえで誕生しました。正式デビューの時点ですでに多くのファンがメンバーを知っていたグループです。
とはいえ、オーディション番組からグループが生まれ、デビュー前からファンが応援する仕組みは第5世代以前にもありました。『PRODUCE 101』シリーズなどが代表例です。
今はそこに公式SNSや練習生コンテンツ、短尺動画などが加わり、デビュー前のメンバーを知る入口がさらに増えています。まったく新しい仕組みが突然生まれたというより、以前からあったファン参加型の文化が広がったと見るほうが近いです。
「第5世代」という言葉にはマーケティングの側面もある
世代名を考えるときに外せないのが、新人をどう見せるかという視点です。「第4世代の後発組」より「新しい第5世代」と打ち出したほうが、新しい流れの始まりとして伝えやすくなります。
その分かりやすい例が、その次の「第6世代」をめぐる動きです。The Korea Timesは2025年、cosmosyの所属側が第5世代との差別化を意図して「第6世代」という表現を使ったと報じています。当時も第4世代と第5世代の境界は明確ではありませんでした。
とはいえ、第5世代という言葉を単なる宣伝文句と片づけるのも違います。時代の変化を整理する言葉として使われる一方で、新人の新しさを伝える言葉にもなる。二つの役割が重なっているから、境界も曖昧になりやすいのです。
2026年も「第5世代」という呼び方は使われている
「第6世代」を名乗る例が出たからといって、K-POP全体がすでに第6世代へ移ったわけではありません。
Korea JoongAng Dailyは2026年4月の記事でも、2025年デビューのKickFlipを「第5世代」のボーイグループが競う状況の中に位置づけています。2026年の報道でも、第5世代という呼び方はまだ使われています。
今後「第6世代」という区分が広く定着すれば、あとから第5世代の終わりが整理されるかもしれません。今の段階で「何年から第6世代」と決めてしまうのは早そうです。
FAQ
K-POP第5世代は何年から?
2023年ごろを目安にする例が広く見られます。ZEROBASEONEを「第5世代」と位置づける表現が広がったことも、大きなきっかけの一つです。ただし、公式な開始年ではありません。
第5世代は誰が決めたの?
特定の機関が決めたものではありません。芸能事務所や番組、メディア、ファンなどが使ううちに広がっていった呼び方です。
もう第6世代は始まっている?
「第6世代」を掲げるグループはありますが、2026年時点でも韓国メディアでは新人を第5世代として扱う例があります。K-POP全体が第6世代へ移ったとする共通の基準はありません。
まとめ
K-POPの「第5世代」は、2023年ごろから広く使われるようになった非公式の呼び方です。ZEROBASEONEをめぐる表現が広がるきっかけの一つになりましたが、公式な開始日や認定制度があるわけではありません。
第4世代との違いも、曲調やTikTokの利用だけでは見えてきません。コロナ禍を挟んだ活動環境の変化、オンラインと対面のファン交流、新人を新しい流れとして見せるマーケティングまで重ねてみると、「第5世代」という言葉が広がった理由が分かりやすくなります。
参考にした主な報道
- Korea JoongAng Daily「[FACTCHECK] Has K-pop already entered its fifth generation?」(2023年7月11日)
- The Korea Times「Japanese girl group Cosmosy raises questions about K-pop’s generational identity」(2025年1月31日、2月2日更新)
- Korea JoongAng Daily「Boy band KickFlip translates viral flirty persona into sound with latest EP ‘My First Kick’」(2026年4月6日)
