韓国人は本当にお酒に強い?「酒豪」のイメージと韓国の飲み会文化

「韓国人はお酒に強い」と聞かれることがありますが、国籍だけでは決まりません。私が知る韓国にも、飲めない人や、お酒が好きではない人がいます。ここでは、私が経験した昔の飲み会と、そこから生まれる印象を振り返ります。

「韓国の人って、お酒に強いですよね?」

この質問、答えるたびに少し困ります。というのも、私は実際にかなり飲めるほうだからです。

「韓国人がみんな強いわけじゃないですよ」と説明したあとで一緒に飲むと、案の定「ほら、やっぱり韓国人!」と言われます。そう言われると、もう何も言えません(笑)。

ただ、私がお酒に強いことと、韓国人がお酒に強いことは別の話です。韓国にもほとんど飲めない人や、お酒が好きではない人がいます。

では、なぜ日本では「韓国人=お酒に強い」というイメージがこれほど根強いのでしょうか。長く日本で暮らして、同じことを何度も聞かれるうちに、私自身も気になるようになりました。

目次
  1. 韓国人は本当にお酒に強いのか
  2. 日本では自分のペース、韓国では何度も「짠(チャン)」
  3. 私が若かった頃、飲み会の誘いは身近だった
  4. 韓国の飲み文化を語るなら、やはり소주(ソジュ)は外せない
  5. 私が経験した昔の飲み会では、お酒を勧める空気が強かった
  6. 私には、飲むペースが「酒豪」の印象につながった
  7. それでも「韓国の人って、お酒に強いですよね?」と聞かれたら

韓国人は本当にお酒に強いのか

お酒に強いかどうかは人によります。韓国人だから生まれつき소주(ソジュ)に強い、というわけではありません。OECDの「Health at a Glance 2025」では、韓国の一人当たりアルコール消費量は年7.8リットル、OECD平均は8.5リットルとされています。これは国全体の消費量を比べる統計で、個人の体質や酒の強さを示すものではありません。国籍だけで酒豪かどうかを決められない、という点は変わりません。

それでも日本で「韓国人はよく飲む」と思われる背景には、ドラマなどで見る飲酒シーンや、私が経験した昔の飲み会の印象も関係しているのかもしれません。私の周囲では、乾杯を何度もして杯を重ねる場面がありました。ただ、それは当時の私の経験であって、韓国の人全員や今の飲み会を代表するものではありません。

日本では自分のペース、韓国では何度も「짠(チャン)」

日本でお酒を飲むようになって、最初に感じた違いのひとつが飲むペースでした。

もちろん相手や集まりによりますが、私が経験した日本の飲み会では、最初にみんなで「乾杯」したあとは、それぞれ自分のペースで飲むことが多かったです。生ビールを一杯置いて、話をしながらゆっくり飲む人もいます。

一方、私の記憶にある昔の韓国の飲み会は少し違いました。

「짠(チャン)!」

とグラスを合わせたら、その一杯を飲み切る。空いたグラスには誰かがお酒を注ぎ、しばらくするとまた「チャン!」。そして、また飲む。そんな流れになることがよくありました。

ソジュのグラスは小さいので、最初は大した量に感じません。でも、空けては注ぎ、また乾杯することを繰り返していると、飲む量はあっという間に増えます。

韓国の食卓でソジュをグラスに注ぐ様子
Photo: Kai Hendry / Wikimedia Commons / CC BY 2.0

日本の人が韓国人を見て「お酒に強い」と感じたのも、酒豪をたくさん見たからというより、こうした飲むスピードや飲み方の違いが大きかったのかもしれません。

私が若かった頃、飲み会の誘いは身近だった

飲み方だけでなく、私が若かった頃は、お酒を飲む集まりに誘われる機会も多かったと感じます。

友人との集まりや大学の会合、会社の会食などでお酒が出ることがありました。私が参加した会社の飲み会では、夕食のあとに二次会、さらに別の店へ移ることもありました。こうした経験から、当時は飲む機会が多かったという印象が残っています。

韓国語の「언제 술 한잔하자(オンジェ スル ハンジャン ハジャ/今度、一杯やろう)」も、お酒そのものが目的というより、「今度会って話そうよ」に近い感覚で使うことがあります。

仲良くなりたい人と一杯。久しぶりに会った友達と一杯。うれしいことがあっても一杯、つらいことがあっても一杯。考えてみると、飲む理由はいくらでもありました。

お酒が特別好きではなくても、付き合いで飲み会に参加することは今より多かったと思います。

韓国でお店の外まで飲みの空気が広がる光景については、韓国ドラマでよく見る「コンビニ前で一杯」は今もある?でも紹介しています。

韓国の飲み文化を語るなら、やはり소주(ソジュ)は外せない

삼겹살(サムギョプサル)や찌개(チゲ)を囲む食卓にソジュの瓶がある光景は、私には昔からなじみのあるものでした。とはいえ、瓶が置かれていても全員が飲むとは限りません。料理と会話を楽しむ場にお酒が一緒にある、というのが私の記憶です。

私にとってソジュの印象は、酒量を競うことよりも、食卓で会話の合間にグラスを合わせる場面と結びついています。もちろん、飲み方は相手や集まりによって違いました。

韓国ドラマや映画でも、こうした飲酒シーンはおなじみです。仕事帰りに포장마차(ポジャンマチャ)でソジュを飲む会社員、友人に悩みを打ち明けながら一杯やる場面、失恋してひとりで飲む場面。韓国に住んだことがない人でも、こういう場面を何度も見ていれば「韓国ではよくお酒を飲む」という印象を持つのも無理はないと思います。

私が経験した昔の飲み会では、お酒を勧める空気が強かった

私が参加した昔の飲み会では、今振り返ると、相手にお酒を勧める空気が強いと感じる場面がありました。

相手のグラスが空けば注ぎ、誰かが乾杯を提案すれば一緒に飲む。特に会社の飲み会では、お酒が苦手でも場の雰囲気に合わせて何杯か飲む人もいました。

今の感覚から振り返ると、断りにくい場面は負担だったと思います。一方、現在の韓国の職場や若い世代の飲み会を網羅的に知っているわけではありません。少なくとも私の身近な範囲では、飲むかどうかを各自で選ぶ場面が増え、会社や世代、集まりによる違いも大きくなったと感じます。

韓国で飲みに誘われても、相手のペースに合わせる必要はありません。「お酒は飲めません」「今日は飲みません」と伝え、飲まない選択も尊重してもらうことが大切だと思います。

私には、飲むペースが「酒豪」の印象につながった

私自身は、昔の飲み会で乾杯を重ねるペースや、誘い合って飲む場面が、「韓国人はお酒に強い」という印象につながったのではないかと考えています。これは自分の経験からの見方で、統計が示す因果関係ではありません。

ここで書いているのは、私が経験した飲み会の記憶です。時代も人も違えば飲み方も変わります。韓国人だからといって、ソジュが好きとも、お酒に強いとも限りません。

それでも「韓国の人って、お酒に強いですよね?」と聞かれたら

今でも、ときどき日本の人から聞かれます。

「韓国の人って、やっぱりお酒に強いですよね?」

答えはシンプルです。人によります。

韓国人がみんなソジュ好きなわけでも、みんなお酒に強いわけでもありません。ただ、昔の韓国には速いペースで杯を重ねやすい飲み会の雰囲気があり、一度始まると飲む量が多くなりがちでした。私の中では、これが昔の韓国の飲み会の印象として強く残っています。

そして問題は、私自身がお酒に強いことです。

ここまで一生懸命説明しても、一緒に飲んだ最後には結局こう言われます。

「ほら。やっぱり韓国の人って、お酒に強いじゃないですか」

……そう言われると、また最初に戻ってしまいます(笑)。

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