韓国では赤ちゃんが生まれると門に唐辛子を飾った?「クムジュル」の意味
昔の韓国では、赤ちゃんが生まれると家の門にわら縄を張る習慣がありました。縄には赤い唐辛子や炭などが挟まれていました。それを見た近所の人は、赤ちゃんが生まれたことを知ったそうです。
この縄を韓国語で「금줄(クムジュル)」といいます。
ところが、クムジュルが張られている間は、親戚や近所の人も訪問を控えていました。おめでたいことなのに、なぜ家に入らなかったのでしょうか。

唐辛子は男の子が生まれたしるし
クムジュルに使われたのは、わらを普段とは反対の方向により合わせた「左縄」です。門の入り口に張り、唐辛子や炭、松の枝などを挟んでいました。
一般的には、男の子なら赤い唐辛子と炭、女の子なら松の枝と炭を飾ったとされています。唐辛子の赤い色や炭には魔除けの意味がありました。また、唐辛子はその形から男の子の象徴とされていました。
縄は家の中ではなく、外から見える門に張られていました。そのため、通りがかった人も赤ちゃんが生まれたと分かります。唐辛子があれば、男の子の誕生を知らせる目印にもなったのです。
ただし、飾り方は地域によって違いました。海藻や小石を使う土地もあり、どの家でも同じ組み合わせだったわけではありません。
赤ちゃんが生まれたのに、なぜ訪問を控えた?
昔の韓国では、出産後の21日間を「삼칠일(サムチリル)」と呼んでいました。「三七日」、つまり7日を3回重ねた期間です。
7日目、14日目、21日目を節目として、赤ちゃんの無事な成長を願う習慣もありました。
この間は、家の外から悪い気が入ると赤ちゃんに災いが起こると考えられていました。そのため、親戚や近所の人も訪問を控えていたのです。別の家に暮らす親族であっても、出入りを遠慮することがありました。
クムジュルを外すのは21日後が一つの目安でした。ただ、地域や家庭によって期間は異なりました。
当時は医療が今ほど整っていませんでした。母親や赤ちゃんの健康が大きな心配事だったはずです。
クムジュルは信仰に基づく習慣です。一方、人の出入りを控えれば外部との接触も減ります。結果として、母親と赤ちゃんを守ることにもつながっていたのでしょう。
門の縄は、訪問を控える合図にもなった
赤ちゃんが生まれたと聞けば、親戚や近所の人は顔を見に行きたくなるものです。でも、出産したばかりの家庭では赤ちゃんの世話だけでも大変です。母親もゆっくり休まなければなりません。
せっかくお祝いに来てくれた人に、訪問を断るのは気が引けるものです。相手が親しい人なら、なおさらでしょう。
門にクムジュルがあれば、家族が一人ひとりに説明する必要はありません。訪ねる側も、縄を見れば今は遠慮しようと分かります。気持ちを直接言葉にしなくても伝えられるわけです。
もともとは魔除けのための習慣です。それでも、家族が落ち着いて過ごすための目印としても役立っていたと考えられます。
今の韓国でもクムジュルを飾る?
今の韓国では、赤ちゃんが生まれてもクムジュルを張ることは一般的ではありません。
現在は病院で出産することが多くなりました。また、産後に「산후조리원(サヌチョリウォン)」という産後ケア施設を利用する家庭もあります。
家の造りや近所付き合いも変わりました。赤ちゃんの誕生を知らせる方法も、昔とは違います。
唐辛子や炭を挟んだ縄を門に張る光景は、日常ではほとんど見かけません。
まとめ
クムジュルは、赤ちゃんの誕生を知らせ、災いを遠ざけるために張った縄です。赤い唐辛子は男の子が生まれたことを知らせる印でもありました。
門に一本の縄を張るだけで、訪問を控えてほしいという気持ちまで伝わる。魔除けとしての意味だけでなく、出産したばかりの家族に気を遣う習慣でもあったのでしょう。
参考資料
